明日から冬休み ~中高合同全校集会~
本校は明日から冬休みを迎えます。冬休み前の全校集会で、佐藤利正校長から次のようなお話をいただきました。
「昨年の今日は一面の冬景色でした。今年の冬はおだやかで雪はほとんどなく、まるで太平洋側のよう。天気予報によると24日から雪が降るようです。私は『よかった』と思っています。それはホワイトクリスマスだから、ではありません。やはり秋田には雪が降らないと!秋田では、雪が降るからこそ、寒くて厳しい冬があるからこそ、やがて来る春がもっともっと素敵なものになると思うからです。」
「私は高3生の大学受験に向けた面接練習の場で、よく『あなたが一番打ち込んでいるものは何ですか。それはなぜですか。その魅力を私に伝えてください。』という質問をします。あなたなら、どう答えますか。一生懸命に打ち込んだ人でなければ見えない世界があります。そんな世界を、一生懸命打ち込んだ人でなければ表現できないような言葉で、その魅力を相手に伝えられたら、こんな素敵なことはありません。もし、まだそれが出来ない人がいたら、自分が一生懸命に打ち込めるものを見つけ、その魅力を表現できるようになってほしいと思います。それはきっと、あなたがそれだけ、一つのことに打ち込んだことの証しになるはずです。」
「高校3年生の面接では、県外大学を受験する生徒に『秋田の魅力って何ですか』という質問も、よくしました。そこでは、ほとんどの生徒が『自然が豊かなことです』と答えます。私はそこで『豊かな自然って、具体的にはどういうことですか』と追加質問します。それに対する、これまで私が一番感動した答えは、一体、何だと思いますか。」
「その生徒の答えは、こういうものでした。『自然が豊かということは、水が豊かということです。秋田は、雪がたくさん降り、その雪が春になって少しずつ溶けて田畑を潤します。秋田は、ぶななどの広葉樹の山がたくさんあり、落ち葉が緑のダムとなって、水を蓄え、すこしずつしみ出すことで田畑を潤します』と。私は、秋田の自然の豊かさを言い当てた素晴らしい回答だと思いました。水をコントロールすることは、文明の象徴であり、わたしたちの秋田は、その水を自然の力でコントロールしている、ということを、その生徒から学びました。」
「水といえば、12月13日の朝日新聞に、面白い記事がありました。1933年にノーベル物理学賞を受賞したオーストリアの物理学者、エルビン・シュレーディンガーの本の中にある問題です。みなさんも一緒に考えてみてください。『今、仮に、コップ一杯の水の分子、全てに目印をつけることができたとします。次に、このコップの中の水を海に注ぎ、海を充分にかき回して、この目印のついた分子が、七つの海にくまなく一様に行きわたるようにしたとします。さて、どこかの海岸で、再度コップ一杯の水をくむとそのコップの中に目印をつけた分子はいくつ見つかるでしょうか』。」
「問題の答は『約100個』なのだそうです。多いですか。それとも少ないですか。実際には、水は蒸発したり、雪や氷になったり、地下水になったり、生命体の中に入ったりしながら、この地球の中で大きく循環するのでしょうが…。そのことを差し引いても、私はこの『100個』という数字には驚かされました。でも、みなさん。本当に答は『100個』なんでしょうか。中等部2年生のみなさん、来年のクリエイティブサイエンスのテーマにしてみてはどうでしょうか。」
「いよいよ受験本番の人も多い、高3生にアドバイスをします。しっかりと睡眠をとってください。十分な睡眠を。脳科学の世界では『人間は寝ている間に、知識や記憶を整理、定着している』といわれています。焦る気持ちも分かりますが、しっかりとメリハリを付けて学習することで、きっとその効果も上がるはずですし、免疫力も上がり、健康的な生活を送ることが出来ます。」
「10月に本校で行った講演会で、本県の教育長、米田先生がおっしゃった言葉を覚えていますか。『 No Rain, no rainbow. 』という言葉でした。私はこれをアレンジして、こんな言葉をみなさんに贈ります。『 No Snow, no spring. 』。よい冬休みを。」