高1「国際探究」専門講座を実施しました。
6月22日(木)、高校1年生の総合的な探究の時間「国際探究」にて「専門講座」を行いました。
この「専門講座」は、SDGsの各分野で解決に向けて実践的に研究や取組を行っている専門家の方々を講師にお招きし、その活動や研究についての講話から、現代社会が抱えるグローバルな社会課題や、その解決策について学ぶものです。
講師を務めてくださったのは、以下の方々です。
講座1『フードバンク活動について』
一般社団法人フードバンクあきた 代表理事 林 多実 氏
(関連するSDGs・・・「1.貧困をなくそう」「2.飢餓をゼロに」「12.つくる責任 つかう責任」)
講座2『取りこぼしのない社会のために ~セクシャリティを通して考える平等~』
秋田プライドマーチ実行委員会 共同代表(秋田南GSO) 伊藤 月菜 氏
(関連するSDGs・・・「5.ジェンダー平等を実現しよう」「10.人や国の不平等をなくそう」)
講座3『社会問題・探究・デザイン ~まちづくりの現場より~』
一般社団法人ドチャベンチャーズ 代表理事・会長 柳澤 龍 氏
(関連するSDGs・・・「11.住み続けられるまちづくりを」「8.働きがいも経済成長も」「4.質の高い教育をみんなに」)
講座4『アオコから発電 ~ゴミの電力資源化~』
秋田大学大学院 理工学研究科 准教授 カビール ムハムドゥル 氏
(関連するSDGs・・・「7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「13.気候変動の緩和と適応に向けた能力を強化する」「14.海の豊かさを守ろう」)
講座5『カーボンフリーな植物生産 ~持続可能な農業の実現に向けて』
秋田県立大学 生物資源科学部 生物生産科学科 教授 小峰 正史 氏
(関連するSDGs…「3.すべての人に健康と福祉を」「7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「12.つくる責任 つかう責任」)
生徒たちは、これまで2週にわたって事前学習を行い、各講座に関するSDGsについて学んできました。今回は、それぞれの関心や興味に基づいて、5つの講座から1つを選択して聴講しました。
実際に地域や世界の課題の解決に取り組んでいる方々の講演から、SDGsについて、国際社会が解決に取り組んでいる大きな問題であるとともに、身近な課題であることを実感することができたようです。
講座終了後の、生徒の振り返りの一部を紹介します。
講座1
「私は今回の専門講座を聞いて、SDGs『つくる責任 使う責任』にも大きく関わっている話だと思いました。食品ロスは企業の責任だけでなく、消費者の私たちにも責任があり、少しでも食品ロスを減らすために行動する義務があると感じました。一番驚いたことはフードバンクの支援を受けている大学生が増加しているということです。これは新型コロナの影響で学食がなくなったり、アルバイト先が見つからない学生が増えて自分でご飯を用意できなくなったりしたことが要因です。この話を聞いて他人事ではないなと思いました。私も大学進学を希望していますが、食事のことまで考えていなかったので、考えるよいきっかけになりました。これからは家でご飯を作ったりエコなレシピを調べたりして、親元を離れても自立した生活を送れるように努力していきたいです。今回の講座では自分の興味のあることについてより詳しく知ることができてよかったです。講師の林先生の話はとても面白く、興味深かったです。これからもこのような機会を大切に、いろいろなことを吸収して自分の成長に繋げていきたいです。」
「日本は先進国とされているけれど、まだまだなんだなと思いました。アメリカやフランスでは、無料でご飯が提供される機会が多いとのことでしたが、日本では、そういう話はあまり聞いたことがなく、日常的ではないと思います。フードバンクはとても画期的なシステムだと改めて知りました。でも、まだ認知度も低く、貧困やフードロスは今後も継続していきそうなので、もっと広まっていってほしいです。私も、他人事ではいられないので、消費期限の近いものから選ぶなどの意識をしていきたいです。」
「以前から授業でもフードバンクについて触れていたが、いざ話を聞くと分からないことだらけだった。フードバンクというと世界的な大規模の組織が行っているイメージだったが日本にも多くの組織があり、都会と地方が協力し合っていることが分かった。また、学校の近くにある車屋がフードバンクに関する活動を行っていると知り、意外と身近にあるのだと驚いた。フードバンクの活動によって大量の食品が廃棄されずに済んでいるがフードバンクで扱う大部分の食べ物は缶詰やレトルト食品などの加工食品であるため、私たちはフードバンクに頼りすぎずに買い物(特にナマモノを購入する時)は買いすぎに気をつけることが大切だと思った。フードバンクの課題としては活動の内容があまり知られていないことである。解決策としては、国際問題について興味を持ち私たちが積極的に調べて知識を得ることが挙げられると思う。」
講座2
「LGBTQ や男女差別の対策を今まで何度も考えてきましたが、今日実際に先生が教えてくださった対策で納得することができました。他の人に考え方を変えようと呼びかけるのではなく、自分の考え方や相手の話の受け取り方で、充分な対策になることがわかりました。自分の言葉が相手を傷つけないか、相手が嫌な気持ちにならないかなど、相手の気持ちを想像して、ゆっくり話を聞けるようになりたいと思いました。また、それを実践するためにも、自分自身が話を聞ける為の健康を第一にする必要があることがわかりました。嫌なことをしっかり伝えることも差別をなくす一歩であることに改めて気づきました。」
「ジェンダー平等を実現するには仕事での区別をなくすことが必要だと考えていたが、機会を平等にすることが大切で、SDGsにも明記されていることがわかった。セクシャリティのイメージはグラデーションで誰もが持っており、一人ひとりによって感覚が違うことを学んだ。アセクシャルやパンセクシャルなど、性の感じ方は色々あることに驚いたが、一人ひとりによって感覚が違うので納得した。日本や秋田県の現状は良くないので、国際探究でジェンダー平等実現のための提言をすることも視野に入れたいと思う。」
「世界にはいろんな人がいて、いろんな考え方があるということを知れた。今の私からは出来ない考え方に、多く触れることができました。これからは人が感じることをしっかりと認識して、尊重しあって共生したいと思います。」
講座3
「今日の講座を通してまちづくりへのイメージが変わり、まちづくりとは『自分の意見をしっかりともって、自分たちの生活は自分たちでよくするために自ら行動する』ことだということを学びました。そのために身の周りの小さな課題や疑問点から考え、どうしていきたいか皆で話し合うことが大事だと分かりました。実践(話合いや講師からの質問など)を通して、日本人は将来に対して、悲観的な考えをもっている傾向が高いことを実感しました。それは、さまざまな原因が重なっていることを知りました。しかし、理想の世界を実現するためにそれらの原因に対して向き合って行くことが大切だと思いました。これからの南高校での生活も高校生活をより充実させるために、自分の考えをしっかりもって、まず自分一人からでも意識改革を始めていきたいです。」
「社会を変えようという意識をもったことはなかったけれど、今回の専門講座を通して、社会を構成する自分たちこそが課題意識をもって行動すべきだと思うことができた。日本の課題や現状という大きな問題から、秋田南高校という身近な地域についての話し合いや先生のお話を聞くことでまちづくりをするために大切なことの一端を知ることができたと思う。最後に先生がおっしゃっていた、ガンディーの『Be the change that you wish to see in the world.』という、『変化を求めるなら、その求める変化を自分自身で体現し行動せよ』という言葉が心に残った。私も、自分が暮らすまちや地域に対し何ができるのかを考え、少しでも行動していきたいと思った。」
「とても勉強になる講座だった。ノルウェーの高校の校長先生に『この学校の誇りとは』と尋ねたところ、『民主主義を高校で実現できること』と答えたそうだ。私は学校で民主主義を実現するなんて考えたことがなく、今回、柳澤先生の話を聞いたり、グループで話し合ったりする事でハッとした事がたくさんあった。先生が話された『どんな問題の解決策にも正解はなく、それぞれが案を出し合うことが重要だ』という言葉が心に残った。私もいろいろな場面で人に任せるのではなく、自分から協力していきたいと思った。」
講座4
「水質や環境を汚染しているアオコを発電に利用し、その問題の解消だけでなく、化石燃料の使用料が減るため二酸化炭素も減り、地球温暖化を抑制できるという一石二鳥な発電方法にとても感動しました。『アオコで発電』という話は今まで聞いたことがなかったので、発電方法などを知れて、新鮮で面白かったです。アオコは秋田県の八郎湖でも広い範囲に発生していたという話を聞いたことでより身近に感じ、今後秋田の課題点がどのように改善されていくのかがすごく楽しみになりました。1つの課題を重視するだけでなく、他の課題にも着目してみることで、より柔軟に想像出来る可能性も感じられ、今回の講座は私にとって、とても勉強になりました。」
「アオコから発電する方法は、生物の代謝を利用していることがわかった。微生物が有機物を取り入れ二酸化炭素を出し、電流を流すことにより水素イオンが陽極に移動することで水ができるなどの反応が起きていると知った。アオコから取り出せる電力は小さいが、体積を増やしたりすることで改善もできることがわかったので、ゴミを資源として実用的に活用出来たらいいと思います。カビール先生は起こっている化学反応を図で示したり、要点を見やすくまとめたスライドで紹介したりしてくださったので、理解しやすかったです。大学の紹介もあり、研究施設を初めて見て、自分も志望の大学に行って学びたいと思えました。」
「微生物燃料電池にアオコを用いて発電できると知り、まだまだ知らないことばかりだと思った。微生物の代謝反応を利用して電気エネルギーに変換できるということが面白いと思った。そして、これからの科学の発展で地球温暖化が食い止められるようになるといいなと思った。自分も、身近なところに着目してSDGs関連の研究ができるように、日常に疑問をもっていきたいという課題ができた」
「理工学はあまり知らない学問でどんな研究をしているのだろうと思っていたので知れて面白かった。アオコの詳細を知らなかったのだが、話を聞いてそんな方法で発電できるのかとびっくりした。また、微生物燃料電池が代謝と同じような仕組みと聞きとても想像しやすかった。最初の理工学の説明でスマホは最新エレクトロニクス工学の結晶と言われとても感動した。話を聞けてとても良い経験になった。」
講座5
「施設栽培に大量の電気がかかることを知りました。また『地球環境を維持するために必要なコストは今までの負債であり、みんなで負担すべき』という言葉を聞いて僕もそれを忘れずに生きていこうと思いました。そして、環境のことを考えて生活を送っていきたいです。」
「今回の講座を受講して、これまで知らなかった再生可能エネルギーをたくさん知ることができたので良かった。特に興味深かったのは、地中熱ヒートポンプについてのお話で、夏は涼しく、冬は暖かいという仕組みに驚いた。市役所や風力発電にも使われているということで、意外と身近にあってすごいと思った。農家さんに広く使ってもらうために求められるのは低コストだと分かったので、そういう研究をもっと学んでいきたいと思った。」
「今日は農業の側面から日本全体を見ることができたと思います。日本においては施設農業は1パーセント程度しか行われていないにも関わらず、世界においてはトップレベルと言われるほどであるということから、いろいろな視点から物事を見ることが大事なんだということが分かりました。また、グラフや表などの資料からいろいろな事柄を読み取り、読み取ったことからさまざまなことを考察することができるように、これからもっと意識し、数値などを活用した説得力のある発表をすることができるように努めていきたいと思いました。今日の講座で学んだことを、これからの自分の探究活動に活かしていきたいと思いました。」
講師の皆様、誠にありがとうございました。