社会人の方々と意見交換。高3学術探究コース「グローカル・ミーティングⅠ」を開催しました。
5月23日(木)、本校を会場に、高校3年の学術探究コースの探究活動の発信と実践活動「グローカル・ミーティングⅠ」を行いました。
この「グローカル・ミーティング」は、高3「学術探究コース」で行ってきた、社会問題や学術の課題の解決をテーマとしたグループ研究のまとめの活動の一つです。
社会人講師の方々に向けてこれまでの研究内容を発信、意見交換することを通して、研究内容のブラッシュアップを図るとともに、研究をさらに深めていくものになります。
今回、講師をお務めいただいたのは、地域や世界を舞台に活躍されている企業の経営者や起業家の方々です。
株式会社 エスツー 代表取締役 CEO 須藤 晃平 氏
株式会社 清水組 代表取締役 清水 隆成 氏
株式会社 杢 代表取締役 阿部 円香 氏
株式会社 Liberty Gate 代表取締役 菅原 魁人 氏
また、秋田南GSO(卒業生による探究活動等の支援団体)のメンバー2名も参加し、講師と一緒に意見交換に参加してくれました。
川上 穂佳 さん(56期・秋田大学大学院)
松沢 旺介 さん(57期・国際教養大学3年)
全体会として開会行事を行った後、4つの分科会に分かれて活動しました。
生徒たちは、これまで取り組んできた研究内容をプレゼンテーション形式で発表しました。
講師の皆さんからは、研究内容について率直な疑問や意見、新たな提案などが出されました。
経営者として地域の課題にまさに取り組んでいる講師の皆様の、経験に基づいたご指摘やアドバイスを、生徒たちは真剣に聞いて、そして生まれた新たな考えについて、さらに議論を深めていました。また、秋田南GSOの先輩方からも、ご自身も探究活動に取り組まれた経験から、具体的なアドバイスをいただくことができました。
講師の方々のお話に新しい視点をもらって、生徒たちの探究活動は大いに深まったようです。
閉会行事では、各分科会の内容について各部屋の代表生徒が報告し、得た学びや気付きを共有しました。
講師の皆様方からも感想をお話しいただきました。
温かい励ましの言葉に、生徒たちはこの後の探究活動に向けて、さらに気持ちを高めていました。
この後、生徒たちは、いただいたご意見や新たな知見をもとに探究を深め、その成果をグループで執筆している研究論文に反映させ、完成させる予定です。
また、7月には、「グローカル・ミーティングⅡ」として、秋田市役所を訪問し、市職員との意見交換を行うこととしています。
会の終了後には、社会人講師や秋田南GSOの方々にお残りいただいて、追加で懇談会を実施しました。
多くの生徒が、講師の皆さんに熱心に話しかけ、働くということや、大学での学びなど、さまざまなトピックのお話を伺うことができました。
活動後の生徒の振り返り記述の一部を紹介します。
・今回のグローカル・ミーティングでは、大人、さらには経営者としての立場からのご意見をたくさんいただくことができました。高校生だけで研究を進めていると、どうしても同じような視点でしか考えられなくなってしまっていたということに気付かされました。また、質疑応答を通して自分たちの研究内容を再確認でき、また、もっと考えていかなければならないところを明らかにすることができたので本当に良かったと思います。そして、私たちの提案に「実際に導入されたらぜひやってみたい」「おもしろそう」と言っていただけて、今まで懸命に取り組んできて良かったと心底感じることができ、自信につながりました。今回学んだこと、感じたことをこれからの市役所での発表や論文作成に活かしていきたいと思います。
・ワークライフバランスの実現という、私達高校生の視点では考えが及ばない部分が多い探究であるから、実際に秋田で働き、会社を経営する方々にご意見をいただくことができたことを嬉しく思う。特に分科会では、私たちの質問に対して丁寧に返答をいただいたため、その返答を参考に今後の活動を進めたい。
・研究についてのこと以外にもたくさん勉強になることを教えていただき、自分の今までの考え方や視点が少し変わったような気がしました。特に、きっかけを大事にすることが大切だということがとても印象に残っていて、すべてのことに対してそれを始めようと思ったきっかけや、体験を常に心に留め、軸をぶれないようにしていきたいと思いました。
・今回の活動を通して、自分の考えていることを的確に言語化する能力をもっとつけたいと思った。言い換える力も足りていないのでつけなければならないと思った。アイディアの数を出すことには慣れているかもしれないけれど、深めることが苦手だということを痛感したので、この後は想像力、多角的な視点をつけていきたい。
・普段は生徒主体で探究活動を行うため、大学を経て現在職に就いている方々の指摘やアドバイスを直接お聞きすることができて本当に良かったです。自分たちでは思いつきそうもない別角度からの質問などもあり、初めて聞いた方からの意見はとても貴重なものだと思いました。また、講師の方が最後におっしゃっていた、「楽しむ」ことの重要性も知ることができました。真面目に取り組むことと、クリエイティブな考えを持ってポジティブに取り組むことの両方を大切に、これからの探究に活かしていきたいです。
・探究活動とは違う部分でも、勉強になった。特に、「一度失敗しても、その失敗を次の挑戦の足がかりとすれば良い」とおっしゃっていただいたことが心に残っている。これからも幾度とない失敗を重ねながらも、毎日着実に歩みを進めたい。
・今回のグローカル・ミーティングを通してたくさんの気づきや学びを得る事ができました。私達のグループは、客観的に感じる研究をさらに深めるために、調査が必要な部分に関しての意見や大人の個人としての視点からみた感想をいただきました。中でも、近くにいるから魅力に気づきにくいという言葉が印象に残っています。この言葉は実際に経験したことがあるからこその視点だなと感じました。今後の研究では見つかった課題を解決・改善しより良いものにしていきたいです。
・私たちの班では最終的な結論を出すための研究まではできておらず、「現実的でない」などと言われてしまうのではないかと思いながら分科会に臨みましたが、想像していたよりも前向きな言葉をたくさんかけていただけて嬉しかったです。私たちの不安とはまったく逆で、今後も研究に取り組んでいけば、いつか私たちの提案が現実になるかもしれないとまで言っていただきました。自分たちが一年間やってきた活動に、今まで以上に自身をもつことができ、誇りに思えるようになったように感じます。次の市職員とのグローカル・ミーティングでは、今日以上に相手に伝わるプレゼンを行えるよう、より磨きをかけていければと思います。
・高校生の視点からこれまで探究を進めてきたが、大人の視点、また経営者の視点から俯瞰したときに、私たちの提案にはまだ穴があったとわかったので、それに気づくことができた良い機会でだった。ワークライフバランスに関して考えていくと、子育てのほうに重点を置いて実現させたいと思うようになりどうしても仕事を悪と捉えてしまうということにも気づいた。そのような高校生の自分たちに植えついてしまっている考え方からときには脱却し、批判的思考をもって探究に取り組みたい。また、自分たちの提案を発信する際には、既存の制度との比較をしたうえで提案の有用性を高めることが重要だとわかった。
・今回、他のグループと講師の方がディスカッションしている場面からも学ぶべきところがたくさんありました。様々な課題を当事者目線で考えていかなければならないと改めて感じました。一般企業の代表取締役の方々の視点から英語やコミュニケーションの必要性について考えを伺い、研究内容を考え直すきっかけになったのはもちろん、自分の将来の刺激にもなりました。このような機会をいただくことができ感謝しています。
・より信憑性が高いデータを得ることができる実験を行うためのアドバイスをいただきました。今後はそれを踏まえて新たな実験をしていきたいです。また、どんな課題であっても、マイナスな部分に着目して解決に向かうより、「これ解決できたらこんなにいいことがある」や「これが実現できたら面白い」という前向きな気持ちで取組むことが大切だという意見をいただき、心に響きました。
・実体験の発表への組み込み方や当事者目線になって物事を観察することのコツを、経営者の皆さんから教わりました。発表の不足している箇所を的確に指摘していただき大変貴重な機会となりました。学んだことを活かして、市役所での発表を成功させていきたいです。また、分科会後のフリートークの時間も、とても面白く学びになるお話をたくさん聞かせていただきました。今回は大変有意義な時間を設けてくださり、本当にありがとうございました。
お忙しい中、講師をお務めいただいた皆様、素晴らしい時間をいただきました。
誠にありがとうございました。