中3~高2「学部・学科ガイダンス」・「Go!Go!Drキャラバン」を行いました。
9月20日(金)、高校1、2年生及び中等部3年生を対象に、「学部・学科ガイダンス」と「Go!Go!Drキャラバン」を行いました。
大学の先生による学部・学科での学びの紹介を通じて、生徒の進路意識を育成するのがねらいです。
全部で4大学12の学部・学科に分かれて実施し、対面とオンラインを交えて、生徒は1時間の講義を2つ聴きました。
講師をお務めいただいた先生方の一覧です。
(1)北海道大学 文学研究院 教授 権 錫永先生、教授 浅沼 敬子先生
(2)東北大学 法学部 教授 鹿子生 浩輝先生
(3)東北大学 経済学部 准教授 高浦 康有先生
(4)東北大学 理学部(物理) 准教授 木津 昭一先生
(5)東北大学 医学部保健学科 教授 青柳 哲史先生
(6)東北大学 歯学部 教授 若森 実先生
(7)東北大学 薬学部 教授 髙橋 信行先生
(8)東北大学 工学部(材料) 准教授 竹田 修先生
(9)東北大学 農学部 教授 片山 知史先生
(10)秋田大学 教育文化学部 講師 田口 瑞穂先生
(11)秋田大学 医学部医学科 医員 長谷川 諒先生
※あきた医師総合支援センター事業「Go!Go!Drキャラバン」として実施。
(12)国際教養大学国際教養学部 准教授 堀井 里子先生
生徒は、熱心に講師の話を聞いたり、実験したりして理解を深めました。
今後の進路選択において、貴重な情報を得ることができました。
12分野の先生方、誠にありがとうございました。
生徒による振り返りの一部を紹介します。
「今回のガイダンスでは、人の移動と国際関係というテーマで講義をしてもらいました。まず、話を聞くときに、眠くなったら立ち上がってもいいということを言っていて、すごくグローバルな考え方だと感じました。この講義では難民についてのお話しを聞きました。移民と難民は異なり、移民はそれぞれの国での認識の違いがあるが、難民には世界共通で定められた定義があることを知りました。差別を受けている人が難民となりやすいと思いました。日本人でも難民として登録されている人がいて、世界から日本は遅れていると見られていることに驚きました。差別が少なくなって難民が減ったり、難民になりそうな人を国家が守り、難民になったりするのを防いでくれたらいいと思いました。」
「私は以前から法学部について調べていたけれど、法学部卒でも法曹の道に進む人は1割くらいでほとんどが一般企業や公務員になるというお話を聞いて、改めて弁護士は狭き門なのだと実感しました。また、私は今年も東北大学法学部のオープンキャンパスに行ったので、この講義を受けるのは2回目だったけれど、1回目と環境が違ったり、自分の意見が1回目の講義を受けて変わっていたりしていたので楽しんで受けることができました。個人の権利をとるか、全体の利益をとるかという問題をトロッコ問題を例にしているのがとても面白くて分かりやすかったです。実際にみんなで問題を解いてみると、自分が『人を殺した』という立場にならないほうの選択肢を取っているひとが多いように感じました。その他にも、ベンサムが唱えた功利主義の中の『快楽』という言葉は幸福と何がちがうのかを考えることもとても楽しくて心に残りました。」
「『行動経済学とビジネス』というテーマのもとで、フレーミング効果とプロスペクト理論の関係などについて学んだ。これらの現象・理論には、無料サービス・リスク保証・極端回避論・期間限定などの例があり、人は主観的、または過大に評価する傾向があるというデータを上手く利用していると考えた。私は、経済経営学部(科)への進学を考えているため、今回の講義はとても興味深いものだった。行動経済学やマーケティングは、人の心理と密接に関連しており、ビジネスに大いに応用できるものであると同時に、悪用は有罪となってしまう難しいものといえる。私が将来、マーケティングに関わる機会を得たときには、消費者の損得勘定に働きかけられるよう頑張りたいが、心理的操作についながる恐れがあることも覚えておきたい。」
「今回のガイダンスを通して、新たに学んだことは主に二つあります。一つ目は、理学と工学の違いについてです。今回のガイダンスでおっしゃっていた『理学は発見する学問、工学は発明する学問』という言葉で、明確な違いが分かりました。また、工学部の後に理学部のガイダンスを聴いてさらに先生の言っていた意味が分かった気がしました。二つ目は、模擬授業で扱った世界の資源についてです。日本に鉄鉱石があるのに世界からの輸入に頼っているのは国内で採るよりも割安であるからであったり、日本にも都市鉱山に貴重なレアメタルがあったりするなど、様々なことを知ることができました。これから、前よりももっと日本や世界の資源について目を向けて生活していこうと思いました。」
「保健学科は看護学だけではないということを知りました。東北大の保健学科には看護学コースに加え、放射線技術科学コース、検査技術科学のコースあり、病気が悪化して患者さんが苦しむ前に病気を見つけられるということに興味を持ちました。また、もう一つ『感染症』について詳しく研究が進められていることも知りました。5年前から注目されたコロナウイルスはたくさんの人が感染し、予防や感染によって生活が制限されたり、苦しめられたりしてきました。けれども多くの人が犠牲になったもののコロナよりも前のインフルエンザと比べると亡くなる人が少なかったはずです。これは大学のこのような分野の人たちが研究し、拡大を抑える方法や原因、対処を考えてくれたからだと思いました。人々が苦しんだり、混乱しないように新たな感染症が流行らないことが一番ですが、ウイルスは常に変化し、また新たな感染症が次々と出てくると思います。そのとき私たちが感染症にどう向き合うかを考えることが大切で、これからは必要なことだと強く思いました。また既存の感染症がすべて終息したことはなく、今も感染し苦しんでいる患者さんやその家族、担当の医療従事者がいます。その人たちが少しでも拡大せず、普通の暮らしに戻れるように研究が進んでほしいと思いました。」
「とても面白く実りのあるガイダンスでした。歯医者の数が少なく(特に女性)、高齢化が進行していることをグラフを見ることでより具体的に知ることができ、問題の深刻さを痛感しました。また、歯学部のガイダンスを希望した人が少なく最初は不安だったけれど、自分の興味のある学問の一つである生理学を学べて楽しかったです。味が味蕾や電気などを用いて脳に伝わる仕組みを教えていただく際、ナトリウムポンプやイオンチャネル、リン脂質の構造など、ちょうど最近生物の授業で学んだ単元の内容が話されていたので復習になったし、とても分かりやすかったです。生物と物理は全く違う分野だと思っていたけれど、今回のガイダンスを通して、多種ある学問はそれぞれつながりがあることを知れたので、今後の日々の学習でも生かしていきたいと思いました。」
「講義の中でお話のあった、WHOの『我々は今や地球規模で感染症による危機に瀕している。もはやどの国も安全ではない』という警告が心に残りました。実際身近に体験したコロナのように感染症は世界的に流行していて、『日本が大丈夫だから世界も大丈夫』という安易な考えではいけないということを心に留めたいと思いました。次々と現れる新たな感染症に対応するための新規薬剤は多くの人の命がかかっていると思うので、その基礎研究から臨床実験までのギャップを埋めるという、大きな役割を担えることは、大きな価値があると思いました。そうした新たなウイルスの研究を進める中で、研究者や医療従事者は大きなリスクにさらされていると思います。どのようにして手指衛生を保ったり、感染しないようにできているのか気になりました。」
「薬がどのように作られて、どのように使われていくのかというお話を聞くことができた。例として妊婦高血圧症候群とニコチンアミドについて学んだ。また、近年は日本から多くの画期的な医薬品が発明されていて、世界に大きく貢献しているということが分かった。医薬品をつくる仕事は、直接人を助けたり、人の役に立ったりすることができるから、やりがいを感じながら仕事をすることができると思った。一方、ミスをすると命を奪ってしまう可能性もあるから、仕事選びは難しいと改めて感じた。大学は勉強の仕方を勉強するところであり、大学がゴールだというわけではないということを教えていただき、私は将来の夢に関連する大学ばかり考えていたけれど、学びたい学問がある大学も視野に入れていきたいと思った。」
「東北大工学部の竹田先生は材料について話してくださり、想像より興味深い内容だった。超音波計測システムが搭載された機械を橋にとりつけ、橋の微弱な振動で橋の安全状態を観測するという技術について、総合探究で町の安全について調べている際に知っていたので興味を持てた。『材料』はもっと原始的なイメージだったけれどそれをどう生活に生かすのかがすごく重視されていると感じた。また、一見あまり関連性のなさそうな材料(金属)が町に生かされていて、世の中では多くのことがつながっていると思った。私は都市工学に興味があり、人が住みやすい街の形について知り研究し、仕事にしたいと考えている。そのために分析やシュミレーションなどコンピュータに関する知識や技能だけでなく、今回知った材料のことや行動科学など幅広い知識を得ることで視野を広げられると思った。『自分の進路に関係ない』と切り捨てず、様々な分野の知識を吸収したい。」
「『農学部』という学部について知るのは今回がはじめてだった。理工学の中で悩むことがあっても農学のイメージは湧かずにスルーしてしまっていた。しかし、今日のお話を聞いて産業科学においては欠かさない学問であるとわかり、おもしろそうと思うようになった。取り扱っている内容が興味深いものばかりで、食料、健康、環境の主に3つのであった。その中でも、片山先生が研究している魚の『耳石』が一番聞いていて楽しかった。魚について詳しくないので、耳石を初めて知り、魚の年齢を解析できるなんて驚きだった。木のように年輪が描かれていて乱獲されていないかチェックできるそうで、さらに、海水に多く含まれているストロンチウムによって生活環境の履歴も把握できるそうだ。このような事実を聞いて、生物のしくみの不思議さと秘密に関心を持てた。このガイダンス全体を通して自分の視野になかったことでもタメになることや惹かれる内容があると気づいた。それが環境・エネルギー分野につながる場合もあるため、情報を広く受け入れて自分のものにしていきたい。」
「自然災害には大きく、地震、暴風、噴火、大雨、津波などがある。大雨などで、土地の高さの差によって水がたまってしまうところができると聞いて、私は去年起きた大雨のことを思い出した。私の家は五城目町で、水没した家がたくさんあり、私の家の前も川のようになった。その時に、私のそばの家が少し低い所にあって、目で見て少し分かる程度だったのに、どんどん水が流れ込んでいった。低い所の家は大雨後に水没した後片付けに苦労していて、少し高い所に住んでいた人たちは何もなかった様子を見て、少しの土地の差でこんなにも変わると驚いた。災害が起こった後の行動を考えるのも大切だけど、家を建てる所を土地と災害と結びつけて考えることが大切だと思った。また、自分の住んでいる所の土地について知っておくのも大切だと思った。自然災害について、もっと自分のまわりと結びつけて考えられるようにいろいろな災害と自分の土地について知っておきたいと思った。」
「講座を受ける前まで医師は『ならなければいけないもの』、勉強は『しなければいけないもの』というふうに感じていたが、長谷川先生のACのCMに感銘を受けて勉強に限らず留学や発表会に意欲的に取り組んだ経歴や、意外にも楽観的な動機をうかがって、医師は『なりたいもの』、勉強は『したいもの』というふうに意識が変わった。話題になるからとハワイで苦手なスカイダイビングの体験をしたという話から、医学生や医師は日々ひたすら医師国家資格の受験勉強や自己研鑽に身を投じて息つく間もないイメージであったが、解放的な印象を受けた。しかし、長谷川先生は理系科目が得意だったことやそのことが必須だと言っていたことには自信をなくした。でも、長谷川さんの『家に持ち帰ってほしいこと』のひとつ『目標は医学部卒業後にある』という言葉を聞いて、ルーチンワークは簡単ではないけど、やらなければスタートラインにすら立てないということを改めて痛感した。」
生徒たちは、それぞれの先生方からのお話を通して、自分自身の進路と将来の学びについて考えを深めることができたようです。
先生方、改めてありがとうございました。